工場の廃業で固定資産を処理する方法や注意点について!

昨年2021年に休業や廃業を行った企業は、5万4709件との調査結果が帝国データバンクから発表されています。工場を廃業する場合には、清算人を決めて借入金の返済や資産の整理を行うことになります。その過程において、固定資産など帳簿に記載のある資産は、全て売却して弁済にあてることとなります。そして、この固定資産の処理方法によって現金化できる金額が変わってきますので、工場の廃業をお考えの際は、事前に固定資産の処理方法についても把握しておくことをおすすめします。
今回は、工場の廃業で固定資産を処理する方法や、気を付けたい注意点について解説します。

1. 工場の廃業で処置が必要となる固定資産とは?

工場の廃業で処理が必要となる固定資産には、どのようなものがあるでしょうか?ここでは、税法上の分類の観点から、具体例を説明します。

1-1. そもそも固定資産とは?

固定資産とは、1年以上の期間保有、且つ取得価格が10万円以上のものを指します。

たとえば、土地・建物・機械設備や車両などが固定資産にあたります。また、ソフトウエアや特許なども形はありませんが、無形固定資産として扱われます。

なお、あくまで保有するものが該当し、販売を目的としたものは固定資産に含まれません。

1-2. 固定資産の税法上の分類

固定資産は税法上の分類では、大きくは土地及び家屋と償却資産※にわけられます。
それぞれ税率は同じですが、課税対象額の算出方法が違います。また、償却資産の具体例としては以下のようなものがあります。
※償却資産:土地・家屋以外の事業の用に供することができる資産(その減価償却額又は減価償却費が法人税法・所得税法における所得の計算上、損金又は必要経費に算入されるもの)

・構築物(内装・内部造作物・舗装路面・庭園や門などの外構工事・変電設備・電源設備など)
・機械及び装置(各種製造設備等の機械や装置・建設機械・機械式駐車設備など)
・船舶
・航空機(飛行機・ヘリコプターなど)
・車両及び運搬具(大型特殊自動車など)
・工具や器具及び備品(パソコン・看板・医療機器・測定工具・金型・理美容機器など)

2. 工場の廃業で固定資産を処理する方法

ここまで、固定資産の具体例について説明してきましたが、これらの資産をどのように処理したらよいかについて解説します。

2-1. 買手が付くものは売却する

工場の廃業には、さまざまな費用も発生しますので、買手が付く固定資産は極力早めに売却して現金化することをおすすめします。

土地や建物であれば、関係企業や知人・親類に相談して売却するか、不動産会社を通じて買手を探してもらうのが一般的です。

また、工場の設備や機械・備品なども関係企業などに買い取ってもらえる場合はよいですが、難しい場合は専門の買取業者へ相談する方法もあります。

2-2. 廃棄する

売却できないものについては、基本的に廃棄をするしかありません。廃棄する物によって、一般廃棄物と産業廃棄物に別けられ、それぞれ決められた規定に沿って廃棄する必要があります。

3. 工場の廃業で固定資産を処理する際の注意点

固定資産を売却もしくは廃棄する際に、いくつか注意点もあります。ここでは、特に気を付けたい3つの注意点について解説します。

3-1. 処理が難しいものがある

土地や建物などは比較的売却の見込みが立ちやすいですが、大型の設備や特殊な機械・工具・備品などは、場合によって売却ができないものもあります。廃棄するにしても、上述の通り事業活動で生じる廃棄物は多くが産業廃棄物の扱いとなり、産業廃棄物処理法によってさまざまな規制が設けられています。

こうした廃棄物の処理を都道府県の許可を受けた専門の業者に委託することもできますが、その分費用が発生することになりますので、廃業に伴う費用の見込みを立てる際に注意が必要です。また、個人情報が含まれる情報機器端末などの処理についても、個人情報保護法に沿って適切に処理をするよう注意しなければなりません。

3-2. 現金化する場合に時間を要するものがある

廃業の手続きを進めていくにあたり、さまざまな費用が発生しますので、固定資産の早めの現金化をおすすめしましたが、中には現金化するのに時間を要するものもあります。
例えば、土地や建物などの不動産は、現金化するのに時間を要する場合も多いです。買手がなかなか見つからないケースや、売却額の折り合いが付かずに交渉が長引くようなケースも考えられるからです。廃業のスケジュールや段取りを組む際には、発生する費用に対して、弁済にあてられる資産かどうかの見極めを慎重に行いましょう。

3-3. 会計処理「除却」が必要

帳簿に記載のある固定資産は、申告無しに勝手に売却や廃棄などの処分をすることはできません。「除却」と呼ばれる会計処理を行う必要があるのです。除却とは、事業での使用を中止して帳簿から除く会計処理のことをいいます。この除却の処理を行わないと、仮に減価償却が進んで資産価値がなくなったものであっても、永遠に課税されてしまいますので、注意が必要です。

4. まとめ

工場の廃業で固定資産を処理する際には、売却して極力早めに現金化することをおすすめしますが、資産によって現金化に時間を要するものや、売却が難しいものもある点に注意しましょう。また、売却ができないものは、産業廃棄物処理法などの規定に則って自力で廃棄するか、費用をかけて専門業者に委託することとなりますので、廃業に向けた費用計画に折り込むことが大切です。 神奈川県横浜市にあります「サンユープロジェクト株式会社」では、発電機や工作機械、プラント設備などの各種工業機械の買取りをしております。工場の廃業をお考えの方は、ぜひお問い合わせください。